アロハ ALOHA

アニメーションズ

西尾大介

ALOHA=西尾大介の歌は、スウィートだ。
スウィングに乗って、ブレイクビーツに乗って、ロックステディに乗って──彼の甘く、あたたかな声は、聴く者の身体にやさしく染み渡っていく。しかし、ALOHAの音楽は、ただ甘ったるいだけのものではない。どこか淋しさや儚さを匂わせながらも、一方では「くよくよしてないで楽しもうぜ」と手を引いて連れ出してくるような、あっけらかんとした明るさも同居している。それはシャイでロマンチストで、だけど酒が入ると、とことん飲んで楽しくなっちゃう(そして酔いつぶれてクラブの隅っこで寝込んじゃう)、西尾大介の〈博多っ子純情〉なパーソナリティとなんとなく通じているような気がしてならない。 

2004年、西尾大介のソロ・ユニットとして始動したALOHAは、その後、音楽仲間たちがメンバーに加わりながら、地元・福岡のクラブやライブハウスを拠点に活動していく。2006年夏には、ファースト・アルバム『CITYMOVIE』をリリース。自主制作ながらタワーレコードで全国的にパワープッシュされ、話題となる。2007年9月からは、自らがオーガナイズするイベント〈JUST NIGHT〉がスタート。キセルや□□□(クチロロ)、モアリズム、今野英明らを迎えて定期的に開催された。また、SUNSET LIVEに2年連続出演するなど、ライブ活動も勢力的に行ってきた。そして、2008年4月にミニ・アルバム『TROPICAL COOL』をリリースし、各メディアで好評を集める。

地元福岡での活動で手応えを得たALOHAは、2009年、拠点を東京に移す。 ALOHAのバンド編成でのライブ活動はもちろん、西尾による弾き語りソロ〈トロピカルダンディ西尾〉名義でのライブも始動させ、いよいよこれからが勝負時という2010年秋、西尾以外のメンバーがバンドを離れることとなってしまった。

再び、西尾のソロ・ユニットとなったALOHAだったが、そこには意外な展開が待っていた。後にALOHAのディレクターを務めることとなるDJ西村道男がオーガナイズするクラブイベントに遊びに来ていた曽我部恵一が、西尾の弾き語りライブを観て共感を覚え、その場で一緒にサニーデイ・サービスの「コーヒーと恋愛」を飛び入りで歌ったことがきっかけとなり意気投合。それから急展開で、曽我部が主宰するROSE RECORDSからのリリースが決まったのだ。

新たにスタートをきった ALOHAは、サポート・メンバーとしてドラムス矢野智明(ex.nontroppo)、ベース朱雀佑輝(MIM)、ギターMR.DOIRA (ex.ALOHA)、トランペット丸野康信、サックスRIN、そしてキーボードにグッドラックヘイワやNATSUMENで活躍する野村卓史を迎えレコーディング・セッションに突入。中でも西尾と野村との相性の良さは予想以上のもので、当初数曲のみの参加予定だった野村は最終的にすべての楽曲に関わり、数曲でアレンジや楽曲提供まで担当するなど、サウンド面において大いに活躍。さらにレコーディングには柏原譲(FISHMANS)、浜野謙太(SAKEROCK)、見汐麻衣(埋火)、PECOらが参加する豪華なセッションとなった。

そうして完成したALOHAのセカンド・アルバム『うたのゆくえ』は、ジャズ、ブルース、カリプソ、レゲエ、フォークロック、ニューオーリンズ、エレクトロニカ……と、多岐にわたる音楽的趣向を反映させながら、彼が思い描くポップスの理想型にまた一歩近づいた作品となった。その中心にあるのは、やはり西尾のスウィートな歌だ。日常の光景から、キラキラと輝くかけがえのない瞬間を捉えていく、ALOHAの楽曲。そして、ユメとウツツの間を自由に泳ぎまわるような、西尾の歌。このアルバムで次なるステージへと上った感のあるALOHAの〈うたのゆくえ〉には、きっと桃源郷があるんじゃないか? なんて、酔いどれアタマで想像してみたりする。

text by 宮内 健(ramblin') 


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