曽我部恵一の最新作『氷穴EP』OTOTOYにてDSD+WAV配信 開始しました。
曽我部恵一が、富士山の麓にある"氷の洞窟"(鳴沢氷穴)の内部で録音した新作『氷穴EP』をOTOTOY限定で本日配信を開始しました。
新曲4曲+近田春夫さんのカバーの5曲を収録。
今年4月に12インチ限定でリリースした『四月EP』の続編のような今作『氷穴EP』は、解けた氷が水となってしたたる音が聞こえてくるほどに繊細な音まで収録され、まるで耳元で歌っているかのような仕上がりになっています。
デジタル・フォーマットの最高音質とも言われるDSDでの録音、ぜひお楽しみください。
曽我部恵一『氷穴EP』
2014年9月25日(木)発売
ROSE178 DSD (1bit/5.6MHz) + ALAC / FLAC / WAV (24bit/96kHz)
まとめ購入のみ ¥1000+税
鳴沢氷穴でのレコーディング写真も収録した曽我部恵一デザインの歌詞ブックレット(PDF)が付属
1. スパンコール
2. レモンティー
3. 日々
4. 若者達の心にしみる歌の数々
5. 夢の中の人
レコーディングの舞台となった鳴沢氷穴は、青木ヶ原樹海の東の入口に位置する溶岩洞で、今から1,150年以上前、西暦864年(貞観6年)にできたとされる天然記念物。かつては天然の冷蔵庫として使われたそうで、洞窟内には真夏でもひんやりとした空気が漂い、多くの氷柱や氷のブロックが常時存在している。実際、レコーディングがおこなわれた8月初頭も洞窟内は気温0度ほどで、曽我部も真冬並みの防寒具を身につけていた。
録音はKORG「MR-2000S」を使っておこなわれ、曽我部の歌とギターを、デジタル・フォーマットの最高音質とも言われるDSDで記録。耳を澄ますと、解けた氷が水となってしたたる音が聞こえてくるほど、繊細な音まで収録されている。また、音を反響しない玄武岩の特性上、洞窟と聞いて想像するようなリヴァーブ感はないが、その分、まるで曽我部が耳元で囁いているかのような録音となっている点にも注目していただきたい。
<曽我部恵一コメント>
ある日、OTOTOYの飯田くんが「そかべさん、氷穴で歌いませんか?」となめらかな京都弁で言ってくるのだった。「あ、いいねえ」。おだやかな、はんなりとしたその語調にさそわれ、返した。 事前に渡された資料に見える氷穴内部は、幾層もの氷がうす蒼く輝き、しんとした透明さに満ちていた。
かねてより、そのために設けられた場の外で歌ってみたい欲がつよい。氷穴も魅力的だった。
いざはいってみると、氷穴は寒い。とてつもなく。音合わせとしてぽろぽろ歌いはじめるが、指先はすぐにつめたくなり、あしもとから血がうばわれていくようだった。しずくが落ちる音だけが鳴るつめたいほらあなのなか、ぼくも一体の氷像になってしまったようであった。
録音をしているときのことはよくおぼえていない。氷像なので記憶はあいまいだ。この曲はこんなふうに歌った、ということもない。ただ音をたどったのだった。
生のけはいのどこにも感じられない世界。そのなかで、いくつものしずくの音だけが、あるポリリズムを形成していた。それは時間が置き忘れていった遠いむかしの鼓動のようにも思える。
曽我部恵一